ヴィッテルスバッハ家の分家の長であるマクシミリアン公の妻ルートヴィカは
バイエルン初代王マクシミリアン一世の王女として生まれたが
親戚であるマクシミリアン公爵と結婚した事により、各国の王と結婚して王妃に
なった姉妹の中で最も低い地位になった事を不満に思っていた。
マクシミリアンはいい夫ではあったが,束縛を嫌う感性豊かな自由人であった。
次女エリザベートは父親似の陽気で開放的な性格で父に愛され、
シシという愛称で呼ばれ、束縛を知らず伸びやかに育った。

ルードヴィカの妹であるオーストリア大公妃ゾフィは皇位継承者で ある
息子フランツ・ヨーゼフに幼い頃から秩序と厳密を教え込み、
混乱と放任を憎む事を教えた。
ルートヴィカは長女ヘレナをフランツ・ヨーゼフと結婚させようと奔走していた。
しかしフランツが選んだのはシシであった。
母ゾフィの反対も押し切ってフランツはシシと結ばれる。

ヨーロッパの歴史の中では血族結婚が多く、特にヴィッテルスバッハは
病的で狂信的だと言われていた。
シシ自身強い感受性、陽気さと重苦しさが交互に現れた。
権威と儀礼とシシを自分の型にはめようとする姑が支配する
厳格な宮廷生活の中でシシは自由を失い、序々に精神の均衡を失っていく。
夫フランツはシシを深く愛したが皇帝の執務に忙殺される日々であった。
最初の子であるゾフィを義母ゾフィ大公妃ゾフィの手から奪うように
連れて行ったハンガリー訪問で亡くした後、シシはルドルフ、ギーゼラと
子供に恵まれるが自信を失ったシシは子供の養育から手を引いた。
末娘のマリー・ヴァレリーだけは終生 強い絆で結ばれていた。

シシは次第に絶えず旅への衝動にかられ、新天地を求め移動し続けるように
なった。シシ1日7時間歩き、過激なダイエットのせいで病的なまでに
痩せているが美貌は衰えず、神経痛に悩まされている。
シシは自分が1ヶ所に落ちつけない為に夫フランツを不幸にしている事を自覚し、
彼女は夫がブルク・テアターの女優のシュラット夫人に関心を抱いているのに気付き、
シュラット夫人が自分が留守の間の
夫の寂しさを癒す友人に適任だと思った。

その頃、幽閉されていた
バイエルン国王である叔父ルートヴィッヒ2世が湖で謎の溺死を
遂げるという事件が起こる。 シシはルートヴィッヒ2世の良き理解者で
あった。 二人は奇妙な関係で結ばれていた。シシはかもめで
ルートヴィッヒは鷲だった。 お互いの存在を確認し合うだけで喜びを
感じた。 彼女はルートヴィッヒを失い、ますます心の安定を失っていく。

長男ルドルフは望まぬ結婚をするがシシの思惑通り破綻し、放蕩生活を送った後
マイヤーリンクの狩猟小屋でマリー男爵公女と謎の死を遂げる。
ルドルフの死後、シシは喪服で通した。
妹ゾフィの焼死、姉ヘレナ、母ルートヴィカの相次ぐ死にシシの逃避行は
一段と激しくなった。
1898年7月、フランツは45年間愛し続けて来たシシがまた旅に出るのを
淋しいながら見送った。
それは二人の永遠の別れであった。
シシはジュネーブのモン・ブラン埠頭でルイジ・ルケーニによって暗殺される。

皇帝は1916年に没するまで「私がシシをどれほど愛したかは誰にも
わからないだろう」と 言い続けたという。

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